デジタル化が非常に遅れ、未だに書類のやりとりをFAXに頼っているのが不動産業界です。
さすがに最近では紙ベースの情報配信は少なくなりましたが、つい最近まではアットホームやマイソクなどのファクトシートと言われる紙ベースでの情報配信が主流でした。
宅建業法では重要事項説明は書面を発行し、その内容を宅地建物取引士が対面で説明を行う事とされていましたが、2015年から国土交通省でIT重説(インターネットを利用した非対面での重要事項説明)の社会実験が行われ、当社も含め全国で246社が参加しました。
その結果、賃貸契約に関しては特にトラブルが無かったという事で、2017年の10月から非対面で行うIT重説が解禁されるという事がありました。
しかし、対面で行う重要事項説明より手間と時間が掛り、ITと言いながら事前に送付した紙の重要事項説明書にサインと印鑑を貰う事が決められており、非対面であることだけが従来の重要事項説明と違う部分で、とてもデジタル化したとは言えないものでした。
なのでIT重説はあまり行われていなかったのが現状です。
そんな不動産業界が今年になって急激にデジタル化が進んできました。
その原因は勿論新型コロナウィルスの蔓延による「ソーシャルディスタンス」・「ステイホーム」の実施で、なるべく人と会わないようにすることが求められました。
そこで「待ってました!」と一斉に動き出したのが不動産テックを扱う各社です。
案内自体も現地に行かず、営業担当者と対面しない「VR内見」が普及し、リコーのTHETA(シータ)など360°が撮れるカメラを使ったパノラマ映像で物件を紹介することが一気に広まりました。
極力顧客と対面しないよう、その先は電子申込みで気に入った物件への申込みを行い、契約は前述のIT重説を利用してオンラインで行うようになりました。
何年も係って出来なかった不動産業界のIT化が、たったの半年で一気に広まりました。
不動産テック各社は我々の時代が来たとばかりに営業展開し、毎日のようにどこかで競い合って無料Webセミナーを開催しています。
当社ではIT重説社会実験の時から参加してデジタル化を図り、VR内見もそのシステムが確立する前から有ったRicoh360.bizを使ってバーチャルツアーを行ってきました。
現在はより進化したVRシステムを提供する会社のものを導入してVR内見を実施しています。
そしてコロナ禍で一気に普及してきた電子申込みも採用し、宅建業法との絡みはありますが今現在は電子サイン・電子署名を採用すべく調査を進めているところです。
宅建業法の紙ベースでの書類発行・署名捺印が緩和された時には一気に電子署名に移行する予定でおります。
新型コロナウィルスの蔓延は困ったものですが、不動産業界を一気にデジタル化に走らせたという良い面も副産物としてもたらしました。
いずれにしてもまだまだ新型コロナウィルスの蔓延は治りそうも無く、まだしばらく続くと思われますが、一刻も早い終息を願っております。