2009年8月21日金曜日

家賃滞納者のデータベース化は一時見送り

8月15日付のブログにて、家賃保証会社が今月末頃に共同で業界団体を設立。
家賃滞納者のデータベースを共有して「悪質な滞納常習者を排除する」という話しが朝日新聞に掲載されていた事を書かせていただきました。



その中で、我々宅建協会でも数年前に悪質滞納者のデータベースを作成し、入居審査の際に常習犯的な滞納者を排除する為の運用が始まっていた矢先、個人情報保護その他の問題から「社団法人がそのようなデータベースを所持するのは公益性という観点から好ましくない」との理由で運用が中止された経緯があったことをお伝えしました。



正に今日のニュースは我々不動産業界で数年前に起こったことが、家賃保証会社の業界団体でも同じように起こってしまったという話しです。



不動産管理会社が多く加盟する(財)日本賃貸住宅管理協会でも、悪質滞納者のデータベース化を推進していただけに、この決定はちょっと残念な気がします。



国土交通省が「やむを得ず滞納した賃借人もデータベース化され、賃貸住宅市場から排除される危険性がある」という懸念を示していたことも、一時見送りの大きな要因のような気がします。



一時的な滞納者と、常習的な滞納者をはっきりと区別する仕組みをデータベースに組み込んでおけば、そのような危険性はかなりの部分で軽減できるはずです。



個人情報保護法・消費者保護法、それぞれに消費者個人を守るためには大事な法律ではあるのですが、悪意も持った者までも守ってしまっては本末転倒ということになります。



当社で実際にあった話ですが、昨年夏に明渡しの強制執行を行いました。



約一年間にも渡り家賃を滞納し、その間何度となく話し合いをしても払う意志が無く、引っ越すこともしない。
我々管理会社は賃借人に快適な生活空間を提供する事も大事な仕事ですが、管理会社の雇い主である貸主の権益を擁護するのはもっとも大事な仕事です。
やむを得ず明渡し請求訴訟を起こし、半年以上の時間を費やしてやっと強制執行となった訳です。



もちろんその間も家賃は支払われませんので、家主にしてみれば、「家賃不払いの強制執行に何で半年以上も掛かるのか?」と怒るのも理解できます。



強制執行当日、執行官や保管倉庫業者・家財搬出の人工など、私や担当弁護士も含めると20名近い人間が執行を行うのですが、引越にしては大人数がざわついているので近所の人達は「何事があったのか?」とぞろぞろと外に集まってきます。



執行される側の賃借人は4人家族で小さな子供も二人。



近所の人達が口を揃えて言うのは「追い出されちゃうなんて可哀想に!何で強引に追い出すの?」



滞納の実態を知らない近隣の人達には、執行を掛ける我々が血も涙もなく、鬼のように酷いことをしているように見えるのでしょう。



でも実の被害者は「追い出される賃借人」では無いんです。
一年以上も家賃無しで家を占拠され、しかも強制執行の費用を負担する貸主なのです。
家賃を払わないような人は家の使い方も酷く、中はぼろぼろになっています。
今回のケースでは滞納家賃と強制執行等に掛かった費用は何と総額350万円程となってしまいました。



悪質滞納者は、莫大な費用が掛かる強制執行を家主側はそう簡単にはやらないことを経験値として知っています。



このような悪質滞納者を閉め出すのが今回のデータベースの目的で、一時的に事情がありやむを得ずに滞納する人までをも閉め出すのが目的では無いと信じています。



報道では「一時的な見送り」とのことなので、今月末に保証会社の業界団体が正式に設立され、より良いデータベースが構築されることを期待しています。