2011年8月23日火曜日

顧客を無視した大手仲介会社の現実

今月初旬にも同じ話を書かせて頂きましたが、またまた別件で同じ事件が起こっています。
それも複数回、それぞれ別の大手不動産仲介会社です。


売り主様から売却を依頼された際、専任媒介契約では7日以内、専属専任媒介契約では5日以内に指定流通機構(レインズ)へ登録をし、広く一般に情報を公開しなければならない決まりとなっています。


昭和54年~55年にかけてS不動産が仲介に力を入れ、多店舗展開をするためにO不動産から店長クラスを約100名もスカウトしたことがありました。


こうして仲介市場に参入し多店舗展開を成功させたS不動産販売は、 前々から大手の中では一番評判が悪く「絶対他社に仲介させない」ということで有名になっていました。


レインズに登録があり、当然のことながら業者仲介可となっていても、問い合わせをすると「契約予定です。あるいは契約交渉中です。」といって客付けをさせてくれません。


一週間して再度確認しても、二週間してから確認しても答えは同じです。


実際には契約予定とはなっておらず、自社で両手(売り主・買い主双方から手数料をもらうこと)になるまで他社を排除する訳です。


このやり方を批判していた他の大手仲介各社も最近では同じ事をやっています。


おそらく社内で手数料率を上げるようにお達しがあったのだと思いますが、「不動産取引の透明性と、適正・円滑・迅速な取引の実現を図る」という流通機構の趣旨に反し、その存在そのものを根底から無視する行為となります。


早期決着を謳いながら、他社を排除するのは顧客(売り主)を騙していることになります。


今回当社で起こった事件は、同一マンションで大手仲介会社から売りに出た物件を同じマンション内に住んでいる当社の顧客が買おうとした際に起こりました。


何度問い合わせをしても「契約予定です。」といって案内をさせてくれません。
二週間経って再度確認しても返答は同じです。


私にとって友人でもあり、会社の顧客でもある方なので、裏事情からして実際に契約予定では無いことが予想されるため、「どうしてもこの物件を買いたいのであれば、当社を通さないで直接連絡するように」と指示しました。


案の定、「交渉中の顧客はいるけれど物件はありますよ。」ということで話が進みました。


当社にしてみたら「頭に来る話」となるのですが、こうしなければ「買い主は物件を買えず」、「売り主は成約に至らず」双方の顧客が損失を被った形となります。


この大手仲介会社にとっては結果ラッキーな話ですが、これで本当によいのですか?


利益追求のために顧客の利益を無視し、大手としての責任と信頼はどこへ行ってしまったのか?
モラルも何もなく情けない話です。


この一回のみならず別件でも全く同じ状況が他社で発生し、今月初めから現在まで毎週毎週確認しているものの「契約予定です。」の返答は変わりません。
指定流通機構レインズの8月23日今日付けの日報にこの物件がまた出ていました。
本当に契約予定であれば流通機構に再登録はしないでしょう。
確認の電話を入れるとやはり「契約予定です。」の返答です。 


よく知っているマンションのため、売り主がどこの誰だかは解っています。
モラルの問題でそんなことはしませんが、もしこの実態を売り主に伝えたらどう良い訳するつもりでしょうか? 


これまでに何度も言ってきたことなのですが、仲介手数料の両手制度(売り主・買い主双方からの手数料受領)に問題があります。


売り主から手数料を頂き、買い主からも手数料を頂ければ単純計算で手数料は倍になります。
売買の手数料は高額なのでとても大きな金額となります。 


流通機構に登録し、情報を公開して他の業者が客付けすると買い主側手数料は他の業者のものとなり、売り主からの手数料のみとなります。


売り物件を預かったら指定流通機構へ登録しないと業法違反となるため登録だけはします。


しかし、他社に客付けされてしまうと手数料が半分となってしまうため、「契約予定です。」と言って他社を排除する訳です。


何でこんな矛盾が起こるのか?というと業法上の矛盾があるからに他なりません。


「不動産取引の透明性と、適正・円滑・迅速な取引の実現を図る」という流通機構本来の姿を取り戻すためにはどうしたらよいのか?


国土交通省の担当者の方はもっと真剣にこの現実を把握して頂き、早急なる善処をお願いしたいと実感しています。


このままでは顧客の権利・利益を擁護出来ないだけではなく、せっかく作った指定流通機構は存在しても意味を持たなくなっています。



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