2010年7月18日日曜日

定期借地借家権プランナー資格認定講座

特定非営利活動法人「首都圏定期借地借家権推進機構」が主催し、新宿の工学院大学で開催された『定期借地借家権プランナー資格認定講座』に参加して来ました。


今日と明日の二日間に渡って開催されますが、今日はその初日です。
二日間受講した者には「定借プランナー認定証書」と「認定カード」が交付される予定です。





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定借セミナー

特に定期借家権の創設に係わった吉田修平弁護士の定期借家権創設の裏話には大変興味を持ち、私の仕事にも直結する定期借家創設に至った背景がよく理解できました。


定期借地権や定期借家権が創設された事情を理解すればする程、日本の借地借家法がいびつに歪んでいることがクローズアップされてきます。


日本の借地借家はその昔、期限が来たら契約が終了する「定期借家」でしたが、1939年制定の「地代家賃統制令」の実効性を確保するため、緊急避難的に1941年に借家法を改正。
戦争にあたり国家を守るためという大義名分の元、正当事由が無くては貸主から契約を終了出来ない現行の「普通賃貸借」へと形が歪んでしまいました。
これは日本だけの特殊な法制度で、アメリカなどでは契約期間が終了しても出ていかないと、警察が介入して来ます。(借りたものは必ず返すという原則に則っています)


吉田弁護士も力説していましたが、「貸し借りの契約は借りたら返すのが原則」。
レンタルビデオは借りた期間が過ぎたら返さなければならないという話しを例にしていましたが、現行法での普通賃貸借は、借主からの契約解除は可能でも、貸主からの解約は実質的に不可能となり、契約期限が過ぎても返さなくて良いという日本だけの歪んだ法律となってしまいました。


国家の存亡に係わる戦争等の非常事態ではある程度のことは仕方ないでしょうが、戦後65年も経っているのに未だに戦争当時の法律が適用されているのはどうかと思います。


普通賃貸借と命名されていても、契約期間到来と共に契約を終了出来ないとなると、「これは普通とは呼べない」という吉田弁護士の話しに私も同感です。
普通じゃない賃貸借と命名したくなりますが、消費者保護法も加わって過剰に賃借人(消費者)を保護し過ぎると、結果として賃貸人(事業者側)も利益追求のために消費者にとって不利益となるような行動に出ます。


過剰な一時金を要求したり、昨今有るように高額な更新料を要求したり、多額な敷引きを強要したりといった具合です。


正当事由名目での高額な立退料を無くし、欧米並に契約を終了させることが出来れば、その分の出費を抑えられ、過剰な賃料の上乗せや高額な一時金を要求する必要もなく、賃借人にとっても良い効果が出てくるはずです。


俗に定期借家権と呼ばれていますが、定期借家権創設時の正式名称は『良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法』です。


要するに定期借家権の創設によって貸渋りが無くなり、快適な住宅がより多く供給されて賃借人にとっても良質な住宅が安く借りられるというメリットが生れます。


しかし・・・・現実は非常に厳しく、平成19年7月に国土交通省が発表した調査結果では、賃貸住宅の定期借家普及率は5%と低く、あまり利用されていないのが現状です。


当社では、賃貸契約の内約9割が定期借家契約となっており、定期借家創設前からの契約以外は殆どが定期借家を利用して契約しています。


賃借人にとってはグレードの高い質の良い住宅を相場より安く借りられ、賃貸人にとっても多少賃料が低くなるとは言っても、不良入居者の排除や建替え等の場合の立退き費用の負担減等、総合的に見ると決して損する話しではありません。


定期借家の創設当社、「平成16年を目処に見直し」となっていたものが見直しされず、不動産会社にとっては「作業量が多く使いにくく」貸主にとっては賃料が低くなると言うデメリット部分のみが強調されているのでしょう。


一刻も早く制度を見直し、利用しやすい制度として広く普及することを期待します。



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