その昔、モータースポーツをやっていた時のキャブレター(燃料供給装置?)は、ウェーバー・ソレックス、一般車のスポーツタイプはSUキャブ等、ねじを回して調整するアナログタイプが主流でした。
調整するメカニックの技術レベルによって車の性能は大きく変わり、運転するドライバーにとっては足回り同様に非常に大事なポイントでした。
途中から電子制御のフューエルインジェクション(燃料噴射装置)なるものが車に搭載されるようになり、ねじを回して調整するアナログ時代から、パソコンでデータを制御するデジタル時代へと移行しました。
今まで不可能であった夢のようなセッティングが可能となり、運転席に設置されたダイヤルを回すことで燃料の供給を調整出来るようになりました。
つまりどういうことかというと、それまではボンネットを開けてドライバーを持ち、キャブレターの調整ねじを回して燃料を調整、しばらく走って納得がいかなければまた車を止めてボンネットを開けて調整、その繰り返しで自分の望むセッティングを決めていたものが、車を降りず、ボンネットを開けず、運転性からダイヤルを回すだけで調整可能となったのです。
当時は排ガス規制のための検問があちこちで行われており、私が乗っていたような派手なカラーリングを施したラリー車は真っ先に検問に引っかかりました。
キャブレター時代、馬力をあげるために燃料ミクスチャーを濃くしていたので、結果としては高濃度の排気ガス(生ガス)を発生し、検問では必ずといって良い程「整備不良車」のレッテルを貼られていました。
しかし・・・・・・
電子制御時代になってからはその当たりのことが一変し、悪ふざけだったので今はとっても反省していますが、排ガス検問に入った瞬間、運転席からダイヤル調整で燃料ミクスチャーを一番濃くします。
結果どうなるかというと、検問で使っている排ガス規制のメーターが振り切れてしまい、整備不良車として要整備のステッカーを貼られてしまうのです。
ところが・・・・
運転席から燃料ミクスチャーを一番薄くし、「すみません。もう一度計ってもらえますか?」と言って再計測してもらうと今度は計測器の針が動きません。
どういう事態になるかというと、「計器が壊れたようなので今日の検問は中止」となっていたのです。
つまり、新しい技術が広まったとき、その技術を理解出来ない人にとっては何が起きているのか理解が出来ず、正確な状況判断が出来なくなると言うことなのです。
前置きが余りにも長くなり、焦点が呆けそうになってきたのですが、何を言いたいかというと、人間が便利に使う道具は、使い手がコントロール出来ることが前提であり、制御不能となる技術は、どんなに便利でも・コストが削減出来ても・効率が一番良くても、人間が使うべきではないのではないかと言うことを言いたかったのです。
便利に使える道具は、使い手がちゃんとすべてを制御出来て初めて力を発揮する。
今までは技術革新に一喜一憂して進化して来たけれど、「本当にそれで良いの?」と感じたのは、多分私だけではないでしょう。
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