2011年3月28日月曜日

地震後の不動産相談

大震災から2週間程が過ぎ、冷静な分析をされた報道を目にすると、あらためて今回の地震規模が想像を絶するものであったことが判ります。

津波の高さもさることながら、震源地からはかなり遠かった浦安市での被害が私自身とても気になります。
そんなことから、時間が経ち、地震の怖さを冷静に考えると、どんどん恐怖心が増してくるのでしょう。

不動産に関する問い合わせも、「この物件まだありかすか?」というものではなく、「この物件は地震の時大丈夫ですか?」、「今回の地震でこの物件には何か問題ありましたか?」、「このエリアの地盤は固いですか?」などと言ったものが増えています。

一方で居住者の方々からは、「この建物は住んでいて大丈夫か?」、「地震で建物が倒れたら、大家は私の被害を補償してくれるのか?」、「地震でパソコンその他持ち物が壊れたが、契約時に入った保険で何とかならないか?」等々、問い合わせは多岐に渡りますが、ちょっと問題なのは、あちこちで起きているであろう「契約後から引渡しまで間」の問題です。

宅建協会東京本部の不動産会館7階に、一般顧客の方や会員不動産会社からの相談を受ける「不動産相談所」が設置され、平日の10:00~15:00迄、1名の苦情解決相談員と2名の不動産相談員による3名体勢で各種相談を受け付けています。
平常時で一日平均40~50件程の相談が電話及び来所で入ってきます。

私はたまたま地震後初の相談日に勤務し、間引き運転されていた電車を乗り継いで平常時の二倍程の時間をかけて相談所に入りました。
「大地震発生から間もない時に不動産相談などあまり無いだろう」と思っていましたし、平常時よりは確かに3割程件数は少なめでしたが、相談内容は地震に関連するものが殆どでした。

そんな中、いくつかあった深刻な問題は、「賃貸の場合の契約後、引渡し迄の間の解約」でした。
相談内容は、「契約前に管理会社宛契約金はすべて送金済み、契約・引渡しを目前にして大震災となり、不安から契約を止めたいと連絡したが、管理会社からは受領した契約金は全額没収すると言われた」と言ったような内容です。

契約後の解約なのか?契約前の解約なのか?という法律判断の事になるのですが、契約の履行とはどのタイミングの事なのか?と言った話です。
賃貸契約の場合、契約金を送金して貰った後に契約、引渡しは後日と言ったことはよくあるケースです。

ケースバイケースで判断は分かれるところですが、判例によると契約履行のタイミングは「引渡し」とされることが多いようですが、弊社では契約書の締結が完了し、契約金の授受が完了していれば、鍵の引渡しは完了していなくても契約は履行されていると解釈しています。

つまり、このケースでの解約の場合は、契約条項に則った解約予告期間をもって解約としています。

引渡し前の売買物件もあったので冷やっとし、また管理物件の被害状況を調べるため地震発生直後の土日で調査した結果、契約途中の物件や管理物件には被害無しでほっとした次第です。

被災地ではこのような契約途中の物件も多々有ったでしょうし、暫く時間が経って落ち着いてくるとこのような問題があちこちで起こってくるのではないかと心配しています。




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